ハーフカットとは?図で分かる加工の基本
皆さんこんにちは。本庄営業です。
普段、私たちの業界では当たり前のように使っている”ハーフカット”という言葉ですが、
先日ふと、入社したばかりの頃を思い出す機会がありました。
この業界の知識がまったくない状態で入社し、
「ハーフカットって何?」 「トムソン刃型?ビク刃?」と、疑問だらけの状態からスタートしたことを、今でもよく覚えています。
もしかすると今これを読んでいる方の中にも、
「加工や抜きについては詳しくないけれど、導入に向けて基本用語だけでも知っておきたい」
「業界に入ったばかりで、まずは全体像をつかみたい」、という方がいるかもしれません。
今回は、そういった方々に向けて、”理解の入口”として読んでいただける内容になれば幸いです。
ハーフカット(キスカット)とは?
まず結論から言うと、
材料の”表面だけ”を切り、裏側の台紙は切らない加工のことを指します。
”キスカット”や”半抜き”と呼ばれることもあります。

イメージのように、材料の表面だけに刃を入れるため、高い精度が求められる加工となります。
また、裏側の台紙の代わりにPETフィルムを使用するケースもあり、台紙やPETフィルムをまとめて”セパレーター”と呼ばれています。
ハーフカットの仕組み|なぜ台紙(セパレーター)まで切れないの?
「なぜすべて切れずに、表層だけが切れるのか?」と不思議に思うかもしれません。ただ、仕組みはとてもシンプルです。
ハーフカットでは、刃先が材料に入ってから、どこで止めるかを正確にコントロールしています。
刃の深さは、”mm単位”ではなく”μ(ミクロン)単位”で調整されます。
このμ単位の高精度な刃先コントロールによって、狙った位置まで刃を入れることで、ハーフカットが成立しています。

どんな製品に使われているの?|ハーフカットの具体例
ハーフカットは私たちの身の回りで非常によく使われています。
・シール、ステッカー類
・物流ラベル、商品ラベル
・ウレタンスポンジやゴムなどの工業用部材
「上の部分だけ剝がせればよい」という用途では、ほとんどの場合ハーフカットが採用されています。
ハーフカット加工の難易度|材料・盤面精度との関係
ハーフカットを安定して行うには、さまざまな条件が絡むため、比較的難易度が高い加工となります。
ここでは、ハーフカットに影響を与える主な要素を見ていきましょう。
1.盤面精度
盤面の精度が出ていないと「部分的に切れてしまう」、「抜けが悪くなる」といった問題が発生します。
上盤と下盤の平行度や、盤面の平坦性は、ハーフカットの仕上がりを大きく左右します。
2.刃型精度
盤面精度と同様に、刃先の精度が出ていない場合も、ハーフカットがうまくいかない原因となります。
刃先の摩耗状態や、刃の倒れなどが影響します。
3.セパレーター
セパレーターがPET材か紙かといった材質の違いはもちろん、厚みによってもハーフカットの難易度は大きく変わります。
セパレーターの厚みの中で刃先を止める必要があるため、薄ければ薄いほど、より高い精度が求められます。
4.打ち抜く材料
表層となる材料の材質も、難易度を左右します。
厚く硬い材料を打ち抜く場合は大きな力が必要となり、その衝撃によってセパレーターまで切ってしまうことがあります。
曙機械工業だからできること
ここまでご説明してきた通り、ハーフカットは「切る・切らない」の境界を狙う、非常に繊細な加工です。
そのため、盤面精度=機械そのものの精度や制御性能が、仕上がりに直結します。
曙機械工業の抜型裁断機が、ハーフカット加工で評価いただいている背景には、次のような特徴があります。
ーー高い盤面精度を支える自社研磨加工ーー
弊社では最大2000×3000mmという大きなサイズの盤面を、自社内で研磨加工しています。
盤面の精度が安定していないと、
「場所によって切れたり切れなかったりする」「同じ場所でも加工結果がばらつく」といった問題が起こります。
自社内で研磨加工を行うことで、盤面全体で均一な精度を確保できることが、ハーフカットの安定性に繋がっています。

ーー0.001mm単位で刃の深さを制御できるNC制御ーー
曙機械工業では、かつて工作機械の製造を行っていました。
その際に培ったNC制御技術を活用し、刃の深さを0.001mm単位で設定することが可能です。
これにより、ハーフカットに欠かせない精度を実現しています。

ーー素材に合わせて速度を変えられる「バリアブルカット」ーー
材料によっては「早く切ると切れすぎてしまう」「粘着層が切った後に再接着してしまう」といったケースがあります。
弊社抜型裁断機では、可変速で裁断するバリアブルカット(特許第4534847号)により、素材の特性に合わせた条件を試すことができます。

まとめ
ハーフカットとは、材料の表面だけを切り、台紙を残す加工になります。
シールやラベルをはじめ、私たちの身の回りには、このハーフカットが使われている製品が数多く存在します。
仕組み自体はシンプルですが、材質や盤面精度など、さまざまな条件が絡み合うことで、加工結果は大きく左右されます。
だからこそ、一つひとつの条件を丁寧に整えていくことが重要になります。
いかがでしたでしょうか。ハーフカットについての理解が、少しでも深まりましたら幸いです。
曙機械工業では、ハーフカットに必要な条件の一つである”盤面精度の高い抜型裁断機”をご提供しています。
「うちの材料でもできるのか知りたい」
「まずは話だけでも聞いてみたい」
といった段階でも、お気軽にご相談ください。